空き家にお困りの方へ。リノベーションでつくる新たな可能性

リノベーション 2024年12月19日

日本では空き家の増加が全国的な深刻な社会問題となっています。総務省が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」によれば、令和5年時点での空き家率は13.8%に達し、空き家の総数は約900万戸にのぼります。人口減少が止まらず、少子高齢化も影響して空き家率は年々上昇傾向にあり、今後も増加が予測されています。

空き家を解体するには費用がかかり、解体後に更地にすると固定資産税が増加するため、多くの空き家がそのまま放置されています。さらに、放置された空き家は不法投棄や犯罪の温床となるリスクを伴います。

一方で、中古住宅を購入し、自分好みにリノベーションして暮らしやすい住まいに生まれ変わらせるという選択肢が注目されています。この機会に空き家を活用し、新たな住まいとして再生することで、資産を有効に活用してみてはいかがでしょうか。

空き家をリノベーションするメリットは?

資産価値の向上

空き家は長期間人が住んでいないため、窓を開けて換気を行うことがなく、湿気が溜まりやすくなります。その結果、内部が傷みやすく、劣化が通常よりも早く進んでしまいます。さらに、壁紙の汚れや、基礎部分のシロアリ被害も考えられます。このまま適切な対応をせずに放置していても、劣化が進む一方です。「もう住むことはできない」と感じている方も多いかもしれません。

しかし、リノベーションを行うことで、空き家は驚くほど美しく生まれ変わります。見た目が整うだけでなく、住むことができる状態に復元されるため、売却時には買い手が見つかりやすくなり、賃貸として活用する選択肢も広がります。

リスクをあらかじめ回避

空き家を放置すると、不法投棄や犯罪の温床となるリスクに加え、倒壊の危険も高まります。万が一、建物が崩壊した場合、近隣住民に迷惑をかけるだけでなく、倒壊によって被害が出れば、賠償責任が生じる可能性もあります。空き家をどう活用するかに関わらず、家主には建物の安全を維持する責任があります。

空き家をリノベーションするデメリットは?

空き家のリノベーションには、予想以上に費用がかかる場合があります。長期間放置されていると、劣化が進行していることが多く、最初に想定していた以上の出費が発生することも考えられます。さらに、1981年以前に建てられた建物は、現在の耐震基準に合っていない可能性があり、この場合、壁や床の修繕に加えて耐震補強工事が必要となり、コストがさらに増える可能性もあります。

しかし、放置しているだけでは問題は解決しません。費用がかかることを理解し、早急に対応を始めることが重要です。

空き家をリノベーションするポイントは?

空き家のリノベーションと一言で言っても、物件ごとに状況は大きく異なります。例えば、空き家としての期間が短く、築年数がそれほど経っていない場合は、簡単なリノベーションで問題を解決できることもあります。しかし、築年数がかなり経過していたり、外観から見て明らかに劣化が進んでいる場合は、より大掛かりなリノベーションが必要となることが多いです。

建物を見ただけでは、どのような工事が必要で、どれほどの費用がかかるかを即座に判断することは難しいです。特に基礎部分の劣化は目視では確認できないため、素人には判断が難しい場合が多いでしょう。

そこで、ぜひ利用したいのが住宅診断です。費用は5万円~10万円ほどで、専門家が建物の劣化状態やリノベーション費用の見積もり、さらには今後のアドバイスを提供してくれます。空き家リノベーションを進める際は、住宅診断を受け、その結果をもとに計画を立てることをおすすめします。

空き家リノベーションにかかる費用は?

全体的なリノベーション

リノベーション費用は幅が広く、特に一戸建ての場合、一般的には500万円~2,000万円程度が相場となっています。費用は建物の劣化状況や選ぶ建材、設備の種類によって異なります。

とはいえ、500万円以下で古民家をリノベーションした事例もあります。設備にこだわりすぎず、比較的手頃な価格のものを選ぶことで、300万円程度でリノベーションを実現できる場合もあります。

部分的なリノベーション

壁や床の修復、トイレや風呂の設備交換など、部分的なリノベーションの場合、費用は数十万円から500万円程度となります。特に水まわりの設備は劣化しやすいため、最新のものを導入することをおすすめします。賃貸物件として貸し出す際には、借り手の印象を良くするため、壁や床の修繕はほぼ必須と言えるでしょう。

ただし、売却を考えている場合、大掛かりなリノベーションを避ける選択肢もあります。なぜなら、購入後に自分でリノベーションを行うことを予定している人が一定数存在するからです。壁や柱の補強、汚れやカビの除去など、買い手が不快に感じない程度のリノベーションをしておけば、売却時に十分な効果を得ることができます。

空き家リノベーションをする際、補助金制度はある?

リノベーションを進める際には、国や自治体が提供する補助金を活用できる場合があります。ここでは、国からの補助金についてご紹介いたします。最新の情報については、各事業の公式サイトなどで定期的に確認することをおすすめします。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

既存の住宅を長期間安全で快適に住むために、住宅の性能向上や改修を支援するための国の補助事業です。

補助率は1/3で、補助金の上限額は評価基準型の場合、1戸あたり80万円、認定長期優良住宅型の場合は1戸あたり160万円です。さらに、三世代同居対応の改修工事を行う場合や、若者・子育て世帯、または中古住宅の購入とリノベーションの場合は、それぞれ上限が130万円/戸、210万円/戸に引き上げられます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象となるのは、以下の内容の工事です。

●性能向上リノベーション工事

●三世代同居対応改修工事

●子育て世帯向け改修工事

●防災性の向上・レジリエンス性の向上改修工事

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)支援事業

ZEH(ゼッチ)は、断熱性能の向上やエネルギー効率の良い設備を導入するだけでなく、太陽光発電などを活用して自らエネルギーを生み出す仕組みを備えた住宅で、エネルギーの収支がゼロとなる住宅です。ZEH基準を満たす住宅には55万円の補助金が支給され、さらに高性能なZEH+基準を満たす住宅には100万円の補助金が支給されます。

 

空き家はできるだけ早く対策をしよう

 

記事でも述べたように、空き家のリノベーションには一定の費用が必要です。しかし、放置しているだけでは問題が解決するどころか、さまざまなリスクが発生します。特に、2023年12月に改正された「空き家対策特別措置法」によって、倒壊の危険が指摘されるだけでなく、窓や壁の破損や雑草の繁茂などが見られる「管理不全空き家」と判断された場合も、固定資産税が最大6倍に増える可能性が生じています。

損失を最小限に抑えるためには、早期の対応が重要です。この機会に空き家のリノベーションをぜひご検討ください。

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